日本RNA学会の魅力

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日本RNA学会 会長

まずはじめに、6月18日に発生した大阪府北部の地震で被災されました皆様に心からお見舞い申し上げます。RNA学会員からも被害の状況が報告されています。一日も早く、元の生活が取り戻せますよう、心よりお祈り申し上げます。

昨年末に行われた選挙によって第10期の評議員が選出され、4月に開催された評議員会での互選により、私儀、第10期の会長を仰せつかることになりました。第8期と第9期の会長を立派に務められた塩見美喜子さんの後を引き継ぐ形となり、大役に身が引き締まる思いがしております。RNA学会と日本のRNA研究のさらなる発展のために、真摯に取り組んで参りますので、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

私はRNA学会のコミュニティーにいつも感謝しています。同じ興味を持った仲間たちが熱い議論を交わし、協力しあったり、時には競争したりして、切磋琢磨しながら成長できる雰囲気を感じています。困っていれば助言を惜しまず、いい仕事はほめ、いまいちだと批判する。お互いに遠慮せずにいろいろと言い合える雰囲気は貴重で、いつもとてもいい刺激をもらいます。PIたちの交流の場としてだけでなく、若手スタッフ、ポスドク、学生たちの発表やディスカッションの場として、とても重要な役割を果たしています。この自由でかつレベルの高いコミュニティーを維持し、さらに発展するために、私たちに何ができるかを会員の皆様と真剣に考えていきたいと思います。

RNA学会の一つの魅力は、多様性だと思います。RNAを共通のキーワードとして物理や化学的な側面の研究から、生化学や細胞生物学的な研究、個体を用いた生理学的なアプローチまで、核酸化学から分子生物学の幅広い分野の研究者が集結しています。また、基礎研究から応用研究まで、年会での発表内容は多岐にわたります。これほど広い分野のトークやポスター発表を一つの会場でみんなで聞くことができるのは、本当にすばらしいと思います。もちろん、すべての研究をきちんと理解できるようになるにはそれなりの努力と時間が必要ですが。。テクニックの共有も含め、異分野から学ぶことはとても多いと思います。この多様性こそがRNA学会の魅力だと思います。

日本のRNA研究の歴史はとても古いです。それこそセントラルドグマの基本原理を研究していた時代に遡ります。偉大な先輩方が、すばらしい仕事をしてくれたからこそ、今のコミュニティーがあるのだと思います。この学会はその流れが脈々と受け継がれていますし、それが他の国にはない日本独自のRNA研究のオリジナリティと、多様性の確保にもつながっていると思います。もちろん、分子生物学はすさまじい勢いで進んでますし、研究対象は日々変化しています。塩見前会長がおっしゃっているように、ぜひ、若手の皆さんには、新しい風をこの学会に持ち込んでほしいと思っています。この学会をさらに魅力的なものにするためには、若手世代とシニア世代のぶつかり合いが必要だと思います。

日本RNA学会は1999年に発足し、今年で20年目を迎えます。私はまさにRNA学会に育てられたといっても過言ではありません。20年前の第1回の年会は志村令郎会長のもと、京都で開催されました。私は、渡辺公綱研の助手として参加し、口頭発表をさせていただきました。まだ液晶プロジェクターなど存在せず、OHPかスライドを使って発表する時代です。当時大学院生だったタイの留学生が私のOHPの操作をしてくれたのですが、私の発表がよほど退屈だったせいか、冒頭から寝落ちしてしまい、OHPシートの束をバサッと床に落としてしまいました。それからが大変でした。20枚ほどあるOHPシートを床に広げて、舞台上を歩き回りながら、次のシートを一枚づつ探しては拾い、、これが私のRNA学会のデビュー戦です。ちなみに、スライド係の彼は今や、PIとして本国で立派に自分のラボを切り盛りしています。

まもなく記念すべき第20回日本RNA学会年会が大阪で開催されます。年会長の藤原俊伸さんとスタッフの皆様がすばらしい企画を準備してくださっています。

皆様、大阪でお会いしましょう!

平成30年6月吉日

 

日本RNA学会会長
鈴木 勉


日本RNA学会設立趣意書(平成11年6月)