日付でフィルタされたアイテム: 7月 2020

この度、日本RNA学会からの推薦を受けて、令和2年度「科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞」を受賞することができました。受賞題目は「小分子非コードRNAによる遺伝子発現制御システムの研究」で、数千から数万という配列種の小分子RNAがゲノム中に多数存在する標的遺伝子を制御するメカニズムや、小分子RNAがエピジェネティック因子として働く新たなメカニズムに関する研究によるものです。本研究を進めていくうえで、塩見さんと美喜子さん、学生時代の恩師である金井さんと冨田勝さんをはじめとして、沢山の方々に多大なサポートを頂きました。この場をお借りして、みなさまにお礼を申し上げたいと思います。

2020年07月29日

蛸とエディター

去年参加したRNA Society meeting (RNA 2019 meeting, Krakow, Poland) で面白い発表を見た。タコ (octopus) では例外的かつ異常とも思えるほどA-to-I RNA editingの頻度が高い (図1) [1]。「すごい!でもなんのため?」と衝撃を受けた。それ以来、タコに強い関心を持っている。そのうち、タコの研究をやりたい。編集者ADARをゲノム編集したタコを作製し、彼らの視線、表情 (ボディパターン、体色の変化) やヒトへの接し方を見てみたい。mRNAのMS解析をすれば、m6Aやm5C修飾もヤタラ出てくるかもしれない。それで、タコ関連の本を何冊か買った。しかし、読む時間がなかった。積読。いつか読もうと思い、果たせなかった。ところが、突然、COVID-19がやってきた。外出自粛 (日本人は、Jishukurin Aという脳に特異的に発現している短鎖ペプチドをコードする遺伝子のA-to-G変異のアリル頻度が異常に高く、それが日本人の権威に対する従順さにつながっている、との報告はまだない)、在宅勤務、オンライン会議、オンライン講義。突然、本を読む時間ができた。どうやらこのような状況を英語では“stolen time”と言うらしい。それで、タコに関する本や文献を幾つか読んでみた。

第2回のRNAJオンラインミーティング「mRNA/miRNAの代謝」を下記のとおり開催します。多くの会員のみなさまのご参加をお待ちしています。

日時:2020年8月27日(木) 15:00~17:00
場所:Zoomによるオンラインミーティング

15:00
栗本遼太(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
The tRNA pseudouridine synthase TruB1 regulates the maturation of let-7 miRNA.
15:20
甲斐田大輔(富山大学大学院医学薬学研究部)
Molecular mechanisms of G2/M phase arrest induced by splicing inhibition.
15:40
吉田尚史(横浜市立大学生命医科学研究科)
Structural basis of 3' splice site recognition by splicing factor U2AF1.
16:00
黒柳秀人(東京医科歯科大学難治疾患研究所)
Alternative splicing through m6A modification at a 3' splice site for SAM synthetase homeostasis.
16:20
野田悠太(東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻)
Post-transcriptional regulation of SEPN1 expression mediated by A-to-I RNA editing and stop codon recoding during skeletal myogenesis.
16:40
川田健太郎(東京大学アイソトープ総合センター)
Simultaneous measurement of RNA synthesis and degradation rates using modified ribonucleosides.

スライドは英語で作成していただきます。発表は15分、質疑応答は5分です。
オンライン参加に必要な情報は別途会員専用ページでご案内します。
 

We are pleased to announce the 2nd RNAJ Online Meeting ~ mRNA/miRNA Metabolism ~. We very much appreciate your attendance at the Meeting.

Date: Thursday, August 27, 2020
Venue: Zoom Online Meeting

15:00
Ryota KURIMOTO (Tokyo Medical and Dental University)
The tRNA pseudouridine synthase TruB1 regulates the maturation of let-7 miRNA.
15:20
Daisuke KAIDA (University of Toyama)
Molecular mechanisms of G2/M phase arrest induced by splicing inhibition.
15:40
Hisashi YOSHIDA (Yokohama City University)
Structural basis of 3' splice site recognition by splicing factor U2AF1.
16:00
Hidehito KUROYANAGI (Tokyo Medical and Dental University)
Alternative splicing through m6A modification at a 3' splice site for SAM synthetase homeostasis.
16:20
Yuta NODA (University of Tokyo)
Post-transcriptional regulation of SEPN1 expression mediated by A-to-I RNA editing and stop codon recoding during skeletal myogenesis.
16:40
Kentaro KAWATA (University of Tokyo)
Simultaneous measurement of RNA synthesis and degradation rates using modified ribonucleosides.

The slides will be prepared in English. Detailed information on the Zoom meeting will be available on a member-only page.

 

COVID-19が猛威をふるったこの4ヶ月の間、私たちの生活は大きく様変わりしました。映像に映し出される世界各地の危機的な様子を見ながら、何度となく「こんなことが現実になるとは」とつぶやきました。こうした事態は、昔愛読した小松左京のSF小説『復活の日』の中でしか起こらないはずでした。そこに登場するMM88ウィルスは、イギリス陸軍が軍事目的に開発した新型ウィルスで、それを盗み出したスパイの飛行機がヨーロッパ山中に墜落し、雪解けとともにウィルスの蔓延が始まり、半年後には地球規模で人類は壊滅的な状況に陥るという設定でした。もちろん人造ウィルスや人類滅亡といった設定は、小説の中だけの話です。今回のCOVID-19、武漢で現れた奇妙なウィルス感染症は、私たちが注視している中、SF小説の中で起こっていたことが、そのまま現実の脅威へと変わっていきました。この広がり方がなんとも不気味で、日々確実に拡大を続け、それまで対岸の火事であったものが、気がつくと自分たちのすぐそばにまで刻々と迫ってきました。COVID-19は、人を選ばず全ての人に脅威を与え、受け手の健康状態、生活習慣、知識、深刻さ、そして運などの要因によって個人の運命が決定されていきました。こういう状態になって初めて、私たちの社会とは、無数の取捨選択の結果生じた微妙な平衡状態で、それがどれほど脆弱であるかを思い知らされました。進化の淘汰圧が、突然私たちの頭上に迫ってきたような初めて体験する緊迫感でした。

文部科学省科学研究費助成事業「新学術領域研究『学術研究支援基盤形成』」先進ゲノム支援(先進ゲノム解析研究推進プラットフォーム)では、最先端のゲノム解析及び情報解析技術を開発・整備し、多様な科研費課題に提供して支援することにより、我が国のゲノム科学ひいては生命科学のピーク作りとすそ野拡大を進めることを使命としています。本公募はそのような支援に相応しい科研費課題を募るものです。