こうした流れのなかでRNA研究は飛躍的に発展することになった。遺伝情報の伝達と発現過程における仲介者というRNAにかんする古典的な概念は一新され、プロセシング、翻訳過程、輸送などの基礎的な問題だけでなく、減数分裂、発生・分化、神経系、病態などの高次復号形質の発現制御にも広がりをみせている。いまやRNA研究は生命現象の 多様な局面と深くかかわり合っていることが明らかになっている。
こうしたRNA研究の展開における代表的なトピックについて、わが国を代表する研究者によって解説されたのが本書である。本書により現在のRNA研究における最前線の息吹が知れよう。とりわけ、若い研究者、あるいは学生が本書によってRNA研究のおもしろさ、すばらしさを理解されることを願う。RNA研究のすべてをまとめた待望のレビュー集。ライフサイエンス分野のすべての研究者に必読。