日本RNA学会 - 会報

COVID-19の感染拡⼤で、4月に緊急事態宣⾔が全国に発出され、私たちは2か⽉にもおよぶ⾃粛⽣活を余儀なくされました。⼀時は、全国の新規感染者数が⼀⽇で700⼈を超える⽇も経験しましたが、Stay homeが功を奏し、次第に感染者数が減少し、5月25日についに東京を含む⾸都圏の緊急事態宣⾔が解除されました。しばらくの間は予断を許さない状況が続きますが、ようやく⼈々の活動と活気が戻り、コロナと共に⽣きていくための新たな⼀歩を踏み出したような気持ちです。

はじめに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また罹患された方々には心よりお見舞い申し上げます。また、日々病院や保健所で、命がけで治療や対応に追われている医療従事者の皆様に深い敬意と謝意を表したいと思います。本当にありがとうございます。

SARS-CoV2による大嵐の中で、RNA研究者として今できること

増富健吉(国立がん研究センター研究所)

私は、RNA学会の一メンバーだ。日本RNA学会の鈴木勉会長が、学会会長として出された緊急メッセージで、「RNA研究者として今何ができるか?」と提言されている。このことについて真剣に考えてみた。

北海道大学遺伝子病制御研究所、RNA生体機能分野博士課程1年の高桑央と申します。この度、2019年9月24日から26日にIBM天城ホームステッド (静岡県伊豆市) で行われたRNAフロンティアミーティング2019に参加いたしましたので、その時の様子をご報告いたします。

RNAフロンティアミーティング2019

山口そのみ (東京大学)

東京大学理学系研究科生物専攻修士2年の山口そのみです。2019年9月24日から26日に行われたRNAフロンティアミーティング2019の様子をご報告します。

京都大学大学院医学研究科医学専攻 iPS細胞研究所齊藤研究室の角俊輔と申します。2019年9月24-26日に静岡県伊豆市IBM天城ホームステッドで開催されたRNAフロンティアミーティングに参加致しましたので、その様子をご報告させて頂きます。

理研岩崎RNAシステム生化学研、及び東工大田口研に所属しております博士課程2年の藤田智也と申します。今回、RNA学会のご支援をいただいてEMBL Protein synthesis and Translation controlに参加させて頂きましたのでご報告させて頂きます。

EMBO WORKSHOP参加レポート

木村悠介 (東京大学大学院新領域創成科学研究科)

東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程2年の木村悠介と申します。この度、2019年9月にドイツのハイデルベルクで開催されたEMBO WORKSHOP「Protein Synthesis and Translation Control」への参加をご支援いただき、心より感謝申し上げます。学会の様子や出来事等についてご報告させていただきます。

Riboclub2019 Annual Meeting参加レポート

高倉 眞優子 (東京大学大学院工学系研究科)

東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻 鈴木研究室の高倉と申します。昨年日本RNA学会による国際会議参加費支援に採択をいただき、9月22日-27日にカナダのケベック州オ―フォードで開催されたRiboclub2019 Annual Meetingに参加させていただきましたので、時間が経ってしまいましたがその報告をさせていただきます。

"RNA編集者"の"留学のすゝめ"

西倉和子(WISTAR研究所)

はじめに

日本人若手研究者の、海外留学への意欲低下が指摘されて久しい。私は、1970年代に英国 CambridgeのMRC Laboratory of Molecular Biology (通称 LMB)、そして Stanford大学での、Pre-docそしてPost-doc 研究を経て、アメリカ東海岸フィラデルフィアにあるWISTAR研究所 (https://wistar.org/about-wistar) にて独立、長年アデノシンをイノシンに塩基修飾するタイプのRNA編集 (A-to-I RNA Editing) と、そのメカニズムに携わるADAR (Adenosine Deaminases Acting on RNA) 遺伝子群の研究を続けてきた。今回は、私自身の海外留学体験、RNA編集を研究してきた経過、米国での研究室を持つに際しての苦労、アメリカのサイエンスを牽引してきたNIH研究費支援制度等について、書いてみようかと思う。

スプライシング発見40周年に際し 〜 スプライシング研究35年を振り返る(3)

前田 明(藤田医科大学・総合医科学研究所・遺伝子発現機構学研究部門)

これほどまでに新型コロナウイルスが全世界に未曾有の大惨事をもたらすと、たった数ヶ月前に誰が予想しただろう? これほどまでに科学や医学を発展させてきた人類が、RNA1本にトゲトゲ蛋白質の殻を被っただけの、生き物の風上にも置けない高分子野郎に、完膚無きまでに打ちのめされなければいけないのか? 〜これが俗っぽいが私の正直な印象だ。先日の鈴木勉会長の緊急メッセージを受けて、古市泰宏先生が、新型コロナウイルスに関して素晴らしい啓蒙書を書いてくださった。ウイルス学には疎い私が知らないことも多く、とてもいい勉強になった。また国立がんセンターの増富健吉先生は、臨床医として勇気を持ってPCR検査の検証研究を提案されている。頭が下がる思いである。うちの研究室スタッフの一人も、さっそく増富先生に連絡し、アメリカでの貴重な情報を提供してくれた。恥ずかしながら、一介のRNA基礎研究者である私にできることは何か? と問われれば、正直、今は何もできない。とりあえずは、Stay homeの大号令で、実験がまったくできない若手研究者のストレス解消に、このエッセーを面白おかしく読んでもらうことぐらいだろうか・・・。

新型コロナウイルスが世界中に多大の被害を与えている。中国発のウイルスが、あっという間に広がり、すでに世界で330万人が感染し、死者が25万人も出ている。もっとも被害が大きいのは米国で、そこでは感染者が110万人、死者が6万5千人を超えるという。幸いなことに、この時点、日本では感染者は1万5千人、死者は約500人と少ないが、油断すると米国の二の舞になりかねない。ここは、日本の底力でしのぎたいものである。

5月に入って、新型コロナウイルスの感染爆発は終わった。世界では、まだ、いくつかの国で、爆発が続いているが、日本では、強制的な法指令がなくても、この難局を超えることができたのは、国民の底力である。しかし、これから、コロナの終息までの道のりは遠く、長距離レースとなろう。人口の6~7割がワクチン接種により、あるいは、―――重症化を避けつつーーーウイルスに感染して、免疫力を得ない限り、ウイルスをこの国から除去することはできない。いや、そのあとであっても、ウイルス保因者が外国から入ってくることを想定すると、免疫を持たない3割以上の人たちの誰にも、ウイルス感染と重症化への恐怖は依然として消えないしーーー特に、筆者のような高齢者には、とても怖しい。

病原体など異物が侵入すると、生体は防衛のために免疫反応を開始する。免疫には、即座に開始する自然免疫と、自然免疫だけで手に負えない場合に出動する獲得免疫の2種類のシステムがある。病原体としてはウイルスと細菌の場合があるが、ここではウイルスに絞りたい。細胞が緊急の自然免疫システムによりウイルスを排除しようとする際に分泌する物質のなかにインターフェロンというタンパク質がある。インターフェロンは、高等生物が選んだ最高の抗ウイルス戦士といえる。インターフェロンは、どんなウイルスに対しても、戦う。特に、コロナウイルスやインフルエンザウイルスの様なRNAウイルスと戦うのを得意とする。しかしながら、直接ウイルスと格闘して戦うわけではない。インターフェロンは、小さなタンパクだが、ウイルスが細胞へ侵入すると、① 細胞内で作られて、② 周囲の細胞に働きかけ、「ウイルスが来た」ことを知らせる、③ 次に、「侵入したウイルスを増殖させないために、蛋白合成など細胞の重要な機能を止め」(そのことで細胞自身は死ぬがーー) その後、④「そのような、ウイルスに感染された異常な (自分を含めた) 細胞を貪食して掃除するよう種々の免疫細胞を誘導する」という、誠に、けなげに、多くの働きをするのである。「えっ、漫画みたい、ウソでしょうーー」などと、言わないで欲しい。