巻頭言

暑い夏。プールでひとしきり泳いだあと冷房のきいたリアシートに身体を沈める。だるさと火照りと冷気が相まってなんとも心地よい。——RNA2016の最終イベントであるダンスパーティーが終わり、戻ったホテルの部屋に入った瞬間、そんな記憶がふとよみがえった。長らくの緊張でこわばったままの身体と神経に、お疲れ様、もうリラックスしてもいいよ、と伝える。すると、ためらいなく、素直に徐々にひとつひとつの細胞が弛緩しはじめる。子どもの頃読んだ物語に、大きな木の周りをぐるぐる回ってバターになったトラがいたっけ。そして、確かパンケーキになって主人公に食べられてしまった。そんなこともふと、憶いだされた。幸いにも、私の目の前には空調でちょうどよい具合にひんやり冷えた、上質なベッドがあり、そこに倒れこむことによって完全融解は阻止される。

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