日本RNA学会会報(最新号)

厳冬のKeystone Meeting: これが最後か否か

塩見 美喜子(日本RNA学会会長)

アメリカのコロラド、キーストーンで行われたKeystone Symposia「Small RNA Silencing: Little Guides, Big Biology」から帰国した。標高はビレッジベースでほぼ2,800mとある。空気は薄く(息を吸い込む時、鼻内腔で感じる抵抗が明らかに少なく、思わず過呼吸のような状態になるが得られる酸素は勿論少ない)、気温は最高でもマイナス5度くらいか。これに日米間の時差16時間が加わる‘三重苦’と一人戦う夜は、心理的にとても長い。

廣瀬哲郎先生のもと、2015年初夏の札幌で第17回RNA学会年会が行われ、最先端のRNA研究に触れる機会をいただきました。その特別講演では、同じく札幌で53年前に核酸を学ばれた大塚榮子北大名誉教授が、その後のご自身の研究についてご講演されました。遺伝暗号解読やncRNAなど、半世紀の違いを経て共に黎明期の研究成果が交錯した素晴らしい年会で大変勉強になりました。今回、その年会を受けて北畠真先生(京都大学)が大塚先生への学会報のインタビューをご発案され、私と中村さんがその聞き手を仰せつかりました(我々は共に札幌に居るということだけなのですが)。

RNAフロンティアミーティング2015を終えて

松尾 芳隆(東北大学大学院薬学研究科)

2015年12月8日(火)から10日(木)にかけて、RNAフロンティアミーティング2015を開催いたしました。今年度は、冬の蔵王を舞台に多くの若手研究者が集結し、“RNA”をキーワードに熱い議論が繰り広げられました。特に今年は参加者の大部分が大学院生であったため、質疑応答の大部分が若手研究者同士(大学院生)によって進められていたことが印象的でした。“若手研究者の会”という意味では非常に良かったのではないかと思っております。

海外学会参加報告

平野 央人(東京大学理学系研究科)

皆様こんにちは。東京大学理学系研究科、濡木研究室の平野央人と申します。RNA結合タンパク質のX線結晶構造解析を中心のテーマとして研究しており、第17回日本RNA学会年会にてCas9の構造機能解析に関する発表を行わせて頂きました。その結果、幸運にも青葉賞を受賞させて頂き、その副賞として海外学会への参加を援助して頂くことができました。そこで、私は12月5-9日にインドのコルカタで行われた「The 13th Conference of the Asian Crystallographic Association」に参加してきました。開催地がインドということに加え、初めて一人で海外に行き、初めて国際学会で発表するということでしたので、一筋縄ではいかない旅でしたが、実に貴重な経験を得ることができました。今回は、その学会参加報告をご寄稿させて頂きます。

受賞によせて

佐藤 豊(名古屋大学大学院生命農学研究科)

本年2月に第11回日本学術振興会賞をいただきました。これまで様々な方々に支えられて行ってきた研究をこのような形で評価していただいたこと、とても嬉しく思います。一緒に仕事を進めてきた大学院生や共同研究者の方々にはこの場で再度感謝の気持ちを記しておきたいと思います。

研究留学2年目

向井 崇人(Yale大学 Dieter Söll研究室)

アメリカでの研究留学は1年半過ぎ、そろそろ論文が欲しい時期です。私は現在、Yale大学Dieter Söll研のポスドクとして、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、システインとセレノシステインの遺伝暗号システムを調べています。来年度からは、日本学術振興会の海外特別研究員として研究を続ける予定です。この度の寄稿では、体験記と研究留学のススメを書いてみようと思います。

留学で壁を打ち破る

野島 孝之(Sir William Dunn School of Pathology, University of Oxford)

オックスフォードに留学してから5年以上が経過し、さて今後どうするかと考えていた2015年大晦日に、寄稿依頼をいただきました。乱文になりますが、自分を振り返りながら、留学生活や今後の目標について書き綴りたいと思います。

HEK293T細胞を用いたリコンビナントタンパク質精製

山下 暁朗(橫浜市立大学医学部)

本稿では、ヒト培養細胞HEK293Tを用いた一過的高発現法による「リコンビナントタンパク質の調製法」を紹介させていただく。

RNA関連のブログや会報に掲載されるエッセイを読むと、質の高いサイエンスをしている人のエッセイには愛が感じられます。なにかをやり遂げるには「愛された、いつも見つめてもらっていた、守られていた」という幼い時の記憶、または思い出すことは既に難しいがどこかに生きている感覚が大きな助けになるのかもしれません。これは、また、子どもの時にどれだけ「触れる機会」を与えられるかということにつながるのかもしれません。小さな時に「その感覚」を身につける機会を持つことが思考の癖や刺激への反応のパターン、つまり、発見につながるセンスの形成に不可欠なのかもしれません。

まだ去年起こったことなのに、既に忘れ去られようとしているのが「STAP、オボカタ、理研」事件です。昨年4月の会見で、オボカタさんは世間を味方につけました。彼女のメーッセージは「私は不勉強で未熟で周りの人にいろいろ迷惑をかけるけれど、けなげにみなさんの病気が一日でも早くなおるようにがんばっています。私は半人前でうまく説明できませんが、ちゃんと重要な細胞を作れるんです。200回以上作製に成功しました。その細胞を使ってみなさまのお役にたちたいんです。私にやらせてください! 」っていう印象でした。反知性主義的おじさんおばさんや斉藤環的ヤンキーの琴線に響く「つぼ」をおさえていました。あたかも、論理的に説明できない人の方が世間では「かわいいヤツ」ということになることを彼女は知っているかのようでした。あの会見を見ていた人の中には「そんな正論はどうでもいい、とにかくオボカタを信じてやれ、助けてやれ」と思った人が結構いたのでは。

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