富山RNA倶楽部

井川善也(富山大学大学院理工学研究部)

早いもので大阪年会から2ヶ月以上過ぎ、あの酷暑も去って富山は朝夕には秋の気配が感じられます。大阪年会は20回という節目の年会でしたが、過去の年会の記録をたぐると、いわゆる「地方都市」での開催は、熊本(第6回)に始まり、弘前(第7回)、徳島(淡路島、第8回)、新潟(第11回)、松山(第15回)、そして昨年の富山(第19回)の6回のようです。年会長としてそれぞれの年会をお世話された先生の中には、その地から転任された方、大学を退職された方もおられますが、熊本から松山までの各地方での年会は、年会長のラボを筆頭に、それぞれの地方の大学発の「地元特産」とも言える個性的で優れたRNA研究の印象と結びついて、私の思い出となっています。

しかし富山の場合はややイメージが異なるかもしれません。「富山のRNA研究と言えば『あの先生のあの研究』」と言うよりは「富山にはRNA学会の(常連の)会員のラボが幾つかあるね」と言うのが、皆さんの印象ではないでしょうか。当時(2015年の夏前)、塩見美喜子会長や学会役員が2年後(2017年)の開催候補地を考える際に富山が浮かんだ理由も「富山には何名かいるね」ではなかったかと思います。その「一人」である私(井川)の個人的視点から、富山大学でのRNA研究交流を紹介したいと思います。

私は2013年10月に富山大理学部に着任しましたが、転任の挨拶をした際、「富山には廣瀬豊さんも甲斐田さんもいますね。」という旨の返信を一人ならずいただいた覚えがあります。廣瀬豊さんは京都での第1回年会(1999年)以来、研究も含めて知っていましたし、甲斐田さんとは面識はありませんでしたが、塩見さんや片岡さんと同じDreyfuss研でポスドクをされた経歴を知り、親近感(?)をもって富山に着任しました。RNA研究者が3名(3グループ)いれば「交流会的な活動ができるのでは」との考えはそれぞれにあったと思うので、2014年の分子生物学会年会の頃に声をかけ、翌2015年の1月末に松村さん(2014年3月着任)も加わった4人が集まり意見交換し、交流会の名称が「富山RNA倶楽部」と決まりました。

しかし交流会の名前(だけ)は決まったものの次の進展はなく、さらに約5ヶ月が過ぎた頃、3名宛に「年会開催の打診」のメールが美喜子会長から届きました。この「富山での年会開催」の打診(を受けるかどうかの相談)が、「富山RNA倶楽部」の活動が始まるきっかけにもなりました。年会事務局は上記4人で立ち上げると共に、交流会としての「富山RNA倶楽部」には、理学部の若杉さん(植物RNA)などにも加わっていただき、2015年9月に第1回交流会を開き、各研究室からの研究紹介と懇親会を行ないました。その後は年に2回の交流会開催を主たる活動としています。その際は倶楽部メンバー(研究室)からの研究紹介に加え、学外からもRNA関連分野の講師を招き、交流会の一部として公開セミナーを開催してきました。第2回交流会(2016年3月)で古市泰宏先生(富山大の大先輩)をお招きしたのを皮切りに、前田明(第3回)、鈴木勉、藤田祥彦(第4回、富山RNAワークショップと併催)、別所義隆、斉藤典子(第5回、富山RNAワークショップと併催)、大谷美沙都(第6回)の諸先生にご講演いただきました。他にも倶楽部メンバーが個別に世話するセミナーの情報などを互いに紹介し、相互交流の機会としています。

倶楽部の交流会や富山年会の準備が理(井川・松村)・薬(廣瀬)・医(甲斐田)の3学部のメンバーを中心に上手く分担して進められそうなので、このチームワークの良さを研究活動の活性化にも活かせないかと考え、学内公募される研究プロジェクトへの立案申請を行ないました。学内公募の研究プロジェクトでは「大学の強みや特徴となる研究課題」や「学部を横断した課題」の立案が推奨されます。RNA倶楽部のコアメンバーに加え、工学部や和漢医薬学総合研究所からもメンバーを加え、RNAを研究のキーワードとした学部横断型研究として「理工・医薬・和漢リサーチ・アライアンスによるRNA機能ネットワークの統合理解」という課題名の連携プロジェクトが採択(2016年・2017年)されました。

過去3年間を振り返ると、交流会の立ち上げ・富山年会のお世話・学内連携プロジェクトの3つが平行して進み、意外に密度の濃い活動内容でした。2018年は次の展開を考える時期でしょうか。RNA連携プロジェクトは大学から評価される一方、学内プロジェクトとして更に発展させるなら「富山ならではのRNA研究」が求められています。学内交流会の長所は「経費がかからない、学部生から全員が参加できる(教育面では重要)」ことだと思いますが、一方で限られたメンバーだとマンネリ化するリスクもあります。北陸地域には大学を跨ぐ研究交流の場として「HOKURIKU RNA CLUB」があるので、学内外の交流を上手く連携し北陸地域でのRNA研究も発展・活性化できればと思います。

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写真:第2回RNA倶楽部(ゲスト:古市先生)後の集合写真