育志賞・青葉賞受賞によせて

投稿者 穐近 慎一郎 (東京大学大学院工学系研究科)

東京大学大学院工学系研究科 化学生命工学専攻 鈴木研究室でポスドクをしております穐近慎一郎と申します。昨年度に日本RNA学会および東京大学から推薦をいただき、「第10回日本学術振興会育志賞」を受賞することが出来ました。また昨年東京で開催された第21回日本RNA学会年会にて青葉賞に選出して頂きました。研究を始めた学部4年生のころからご指導いただいた鈴木勉先生をはじめ、評議員の諸先生方、ご推薦いただきました先生方、庶務幹事の伊藤様、会計幹事の築地様に厚く御礼申し上げます。これらの受賞に関しまして、編集幹事の甲斐田先生より原稿の依頼をいただきましたので、拙文ながら寄稿させていただきます。

私はヒトmRNAの1塩基目特異的に存在するN6,2′-O-dimethyladenosine (m6Am) 修飾のN6-メチル化修飾の生合成および機能を解明するという研究を行っています。研究内容に関しましては、7月28日に開催された第1回RNAJオンラインミーティングで発表させて頂いたので割愛させて頂きたいと思います。詳細はS. Akichika and S. Hirano, et al., Science 363 (2020)をご覧ください。この研究テーマは私が学部4年生のときに鈴木勉先生の下に配属されたときから続けているものですが、メチル化酵素の同定までは2年間以上かかりました。廣瀬豊先生からPCIF1がmRNAのメチル化をしているのではないか、と提案して頂かなければ遺伝子同定までは更に先が遠かったと痛感しております。その後も濡木研究室 (東大) や岩崎研究室 (理研) と行った共同研究を含めて論文発表に至れたことを思うと、共同研究者の方々の力がなければここまで到れなかったと深く感謝しております。

育志賞の受賞の知らせは新年早々にメールで頂きました。日本RNA学会のこれまでの受賞者の諸先輩方に続くことができ、大変光栄に感じています。締め切り間際にもかかわらず推薦者を引き受けて下さった廣瀬哲郎先生や、面接対策をお手伝いして頂いた第9回育志賞受賞者の坪山さんには大変お世話になりました。この場をお借りしてお礼申し上げます。残念ながら3月に予定されていた育志賞授賞式は新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止となってしまいましたが、後日大学経由で受け取った賞状・賞牌 (写真1) はとても気品があり、特別な賞を頂いたことを強く実感させるものでした。


写真1:育志賞の賞牌および賞状

青葉賞の副賞として国際学会への参加支援を頂き、2019年9月に開催されたRiboClub 20th Anniversary & Canada Gairdner International Symposiumに参加しましたので簡単に報告させて頂きたいと思います。RiboClubは私にとって、昨年6月にクラクフで開催されたRNA 2019に続き2回目の国際学会への参加でした。RiboClubはカナダのケベック州にあるUniversité de Sherbrookeの研究者達によって創設されたという経緯もあり、RNA 2019に比べるとややローカルな空気感があり、とても和やかな学会だと感じました。会場もホテルの会議室だったため、カナダ版のTokyo RNA Clubのように感じてしまいました。発表演題も幅広くRNAにまつわる研究を網羅するものでしたが、その中でもあまり馴染みのなかったカナダでのRNA研究について知ることが出来たのを覚えています。特に印象的だった点としては、質疑応答の時間が発表ごとではなく、セッション毎にまとめて行う形式なことでした。セッションの最後になるとそれまでの発表者がパネルディスカッションのように質疑応答を行うため、自分が受けた質問に対する意見を他の発表者も答えるといった、よりアクティブなディスカッションの場を楽しむことが出来ました。またポスターセッションでは現地の学生による発表もあり、研究を始めたばかりの学生ともディスカッションするという普通の国際学会ではなかなかないような経験をすることが出来ました。


写真2:RiboClub会場のホテル


写真3:Travel Award受賞者 (RiboClub HPより、左から4番目が筆者)

学会参加を通して、RNA分野は非常に活発な研究分野であるのみならず幅広く多様な分野であると強く感じました。普段の研究生活では聞きなれないような領域もしっかり勉強して、それを自身の研究に活かせるようにしたいと痛感します。

最後になりましたが、育志賞および青葉賞受賞にあたり日本RNA学会の皆様には大変お世話になりました。改めて感謝申し上げます。