愛媛大学大学院・理工学研究科・応用生物学研究室所属、M1の山﨑颯太と申します。この度はRNAJ国内Travel Fellowshipに採択いただき、誠にありがとうございました。このような貴重な機会を頂き第25回日本RNA学会年会に参加できたことで、RNAについての最先端の研究を学べ、自身の研究活動に対する刺激を受けることができました。以下、拙文ではございますが学会参加報告をさせていただきます。
私にとって、今回の日本RNA学会が人生初の学会参加でした。学会初日、期待と不安が入り混じる心境の中、口頭発表を聞きました。内容はもちろんのこと、発表者の皆様のスライドの構成や堂々とした振る舞いをみて、「これが学会なのか…」と圧倒されました。特にRNA学会は英語での発表がほとんどで、同じ学生の発表者の方でもネイティブのような発表を行っている姿には刺激を受けました。口頭発表で特に印象に残っているのは徳永裕二先生の発表で、E.coliにおけるtRNA上の2-thiouridine合成では酵素TusEの構造変化が重要であるという内容でした。この内容は私の研究している4-thiouridine合成とも関わりのある内容だったこともあり、「そういうことも起こりえるのか」と、私の研究に新しい視点を与えてくれた発表でした。
私達の研究室では、極限環境に生息している真正細菌や古細菌のtRNA中の修飾について、その責任酵素の同定や生合成経路の解明などについて研究を行っております。特に私は、4-thiouridineの生合成経路について研究しており、今回のポスター発表ではThermoplasma acidophilumという古細菌における4-thiouridineの生合成経路について発表させていただきました。私達の研究分野は、おそらく、かなりマニアックな部類の研究分野になると思うのですが、発表には想像していたよりも数多くの参加者の皆様がお越しくださり、大変嬉しく思いました。聞きに来てくださった方々との議論では、多方面・他分野からの、質問および私の実験に関するアドバイスも頂き、非常に有意義な時間を過ごすことができました。一方で、自身の力不足を感じることもありました。議論の中で皆様の会話についていけなかったり、質問者の意図を汲めなかったりと、自身の知識の乏しさを痛感しました。しかしこの経験もネガティブなものではなく、自分の実験のことだけを調べているだけでは駄目だという気づきを得ることができましたし、この経験はこれからの学びの原動力になると確信しています。
あっという間の3日間でしたが、RNAに関する最先端の研究を知ることができただけでなく、英語についても良い経験ができました。また、同じRNAという枠組みの中でも幅広い研究分野があり、研究者の皆様が熱意をもって研究を行っているということを実感できました。最後になりますが、このような機会を頂き、またご支援をしてくださった日本RNA学会の皆様に改めて御礼申し上げます。